【招待状は誰の手に】
 
 
 
 
 
 今日は仕事もない♪大好きな事をして、一日を過ごそう!
彼女はこの上ない休日を満喫しようとしていた。
 ゆったりした午後、何を食べようか何をしようかと色々心を巡らせている。
すると、ポストに何か投函される音がした。郵便屋さんかな? とも思ったのだが、足音がしないのも変だなとは
思いつつ、蓋を開けてみると一通の手紙。
 宛先は私宛、差出人の名は無かった。
 いささか怪しい感じはするのだが、字を見てみると凄く達筆で何かを企んでいる人の書く字には見えなかった。
 まぁ、感だけどね(笑)
 とりあえず、中を確認してみると……
 
 
 御活躍いつも拝見しております。
ささやかでは御座いますが、酒宴を設けさせて頂きました。
本日、5時にお待ちしております。

                        かしこ
 

 なんだこれは? 取り合えず何か分からないけど、要は御馳走してくれるらしい。
でも、知らない人の誘いを簡単に受けるわけないじゃないか(笑)
 
 
 
 
 

………
 
 

………………
 
 

…………………………
 
 
 
 
 

 彼女は思った。
 

 で、なんで私はここにいるんだ?
 というか、ここは何処だ?
 いつの間にか、どこかのマンションにいる。しかもドアの前。正直、頭からハテナを飛ばし
まくっていると、いきなりドアが開いた。

「ようこそ、いらっしゃいました。お待ちしておりましたのよ。」

 満面の笑みで迎えてくれた腰ほどまである美しい黒髪を持つ美女。その余りの美しさに固まってしまった。

「どうなさったの?どうぞお入りになさって。妹も楽しみに待っておりましたのよ」

 そういう彼女の後ろからヒョコッとツインテールの可愛いらしい子が顔を出した。どことなく
愛嬌があり、いつまでも見ていたいと思う少女。

「フフッ…お客様?妹とは言いましが私の大切な人です。手を出したら承知しませんわよ」

 顔は笑っているけど目が…目が…落ち着け私。
「…もぉ、お姉さま♪」

 二人は見つめあい熱い視線を交わす。このまま放置しておいたら、”こと”に及ぶのではな
いかと思ってしまうくらいに。どうも、ごちそうさまです。
 呆けている私をみて『ごごごご、ごっ、ごめんなさい。どうぞ中へ』と、どもりながらもツイン
テールの少女が奥へ案内してくれた。
 う〜んかわいい(笑)
 それほど広くないけれど、温かみのある部屋には二人の想いと匂いが詰まっている。こ
こで二人は色々な歴史を作っているのだろう。
『料理の出すので座っていて下さい』と促され待っていると、キッチンから声が聞こえる。

「あっ! お姉さま。それはこっちです」

「えっ? そういうことは早くいって頂戴」

「もぉ! ご自分がお嫌いだからといってお客様の分まで、避けないでください」

「私は好き嫌いなんてないわよ。最近の貴女ってやたら反抗期ね?」

「じゃあ、素直にさせるために……をしてください」

「もぉ、本当に困った子ね」

 クスッ…凄く微笑ましい。

 二人のやり取りが心地よいBGMになり顔が緩んでしまう。
すると、いつのまにか二人の手作りだという料理が並ぶ。質素だけれど、とても美味しく
一生懸命作ってくれたのがよくわかった。
 やはり、楽しい時間は過ぎるのが早い。
 ここぞとばかりに色々聞いてみたが、過去にあった事を二人は楽しく可笑しく教えてくれた。
 その話し方はお互いを享受し、信頼しあい、揺ぎ無い愛で繋がっているのがわかる。
 突然、思い出したのか、黒髪の美女は一つのワインを出してくれた。
出した料理はそれ程のモノではないけれど、責めて飲み物くらいはと、実家から届けても
らったらしい。

 【CHATEAU D'YQUEM】1921年という位はわかるんだけど相当高価なもじゃないだろうか?

 そんな問いに彼女はそれ程でもと微笑んだ。
 グラスはバカラ。乾杯の時の心地よい音と、飲み口でも一級品と分かる。
 甘口のワインは凄く美味しく口に含んだ瞬間幸せな気分になった。

 でも、それはこの二人といるから幸せなのだと…

 飲みやすいワインなので三人でどんどん飲んでしまった。
 私は囃し立て二人のキスしてる所が見たいとお願いしたら、アルコールで結構イイ気分に
なっていたのか、直ぐにノってくれた。
 うわー! うわーー! 凄いこれはなんて幸せでしょう♪
 そんな二人の姿を見ているだけでどんどん幸せな気分になった…
 
 
 
幸せな気分に…
 

幸せな…
 
 
 
 
 
 
 
 
 ジリリリリリリ
 
 けたたましい音で目が覚めた。

「ここどこ? 自分の家? あれ、なんか凄く楽しい事があったような…ギャーーーー
こんな時間だぁ!!
仕事行かなきゃぁ。今から走ればまだ間に合う!」

「ダァーーーーシュ!!!」

 大騒ぎで消えた主の不在の部屋。
 昨日より付けっ放しのパソコンから、冷却用ファンの音だけが静かに鳴っている。
 自動受信に設定してあるメーラーが一通のメールを受信した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

送信者: o-sachi_yumi
日時:  2007年10月*日
宛先:  minenobu
件名:  100,000HITおめでとうございます。

ミネタノブコさま

先日は大したおもてなしができずに申し訳ございません。
喜んで頂けたのなら幸いです。
これからの御活躍と御健勝の程、お祈りしております。
 

私たちは幸せです。
 
 
 
                      敬具
 
                    小笠原祥子
                        祐巳





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 ヂィルさまから 10万ヒット記念に頂きました♪
 招待状は、そう、私の手に!!きゃーーー!!!祥子さまと祐巳ちゃんから招待状ですよ!?
 しかも、小笠原祥子 祐巳って、小笠原祐巳って・・・!新婚さんのお家にお呼ばれです!
 素敵ss、本当にありがとうございました!今日もこんな夢が見られますように(切に)




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