Flower



 夏休みの最初の一週間を、祐巳は祥子さまと過ごした。

 その時間を詳細に思い出そうとするけれど、整然とは思い浮かべることができなく
て。高鳴りと共に情景が身体中を駆け巡っていくような熱が蘇りそうになる。慌てて
それを打ち消そうとすればするほど、脳裏に祥子さまの微笑が浮かんで何も手につか
ない。もしかしてこれが色ぼけってやつなのだろうか。祥子さまと一緒にいる時間よ
りも、離れて一人歩く帰り道やバスの中で程、それはいっそう鮮明に浮かび上がって
切なくなった。


 だけど、8月に入れば、山百合会の活動が忙しいおかげで(こら)、頻繁にそのお
顔を眺めることができる。だから、それ以上を望むなんて罰が当たる。


 頭ではわかっている。けれど、生憎、祐巳の身体は最新のコンピューターでできて
いるわけでも何でもないからして。とにかく、理解と願望の調和が難しい、時がたま
にある。


「人混みは苦手だと言ったはずよ」

 辟易としたように、祥子さまはため息をひとつついて、レジュメに視線を戻した。

「でも・・・」

 「でも」、「だって」、は状況を悪化させることもわかっているつもり。けれど祐
巳にだって、どうしても食い下がりたくなる時位ある。・・・この前のお出かけもか
なりねばった気がするけれど。


「山百合会の活動だって、これからどんどん増えて行くわ。夏休みは7月で終了。だ
からそんな遊び呆けてばかりいられないでしょう」


(うっ・・・)

 冷静に諭されて、祐巳は言葉もなく身を縮めた。その通りです。

(でも、でも・・・)

 言えば言うだけ、言い込められることは予想できるけれど、どうしても納得したく
ない祐巳は、心の中でぐずぐずと駄々をこねてみた。


(祥子さまとお出かけしたい)

 それでもって割とストレートに願望を呟く。・・・心の中で。

 多分、一週間も独り占めしちゃったから、欲張りになってるのだろうと、心のどこ
かでは甘えた気分の自分に気が付いているのだ。別に観光地を巡りつくしたわけでも、
連日イベントがあったわけでも何でもない。ただ、穏やかに流れる時間の中で、祥子
さまと二人、過ごしただけ。


 心もとなくなるような瞬間だって何度かあった。切なかったり、やりきれなかった
り。でも、祥子さまは何度でもその気持ちを拾い上げてくれた。もしかしたら、気が
付いていないのかもしれないけれど。


 温かかったり、苦しかったり、優しかったり。湧き上がる感情は言葉になんてなら
なくて、けれど愛しい。


 もしも、祥子さまも同じ気持ちでいてくれたとしたら、何度でも、そんな瞬間を差
し出したいと思ってしまう。そんなことを考え始めると、際限なく一人舞い上がって
しまって。けれどうまく伝えることもできないのだから、言葉ってもどかしい。


「別に連日夜中までここに籠ってるわけじゃないでしょ」

 ちらちらと祥子さまの様子を盗み見ながらまごつき始めた祐巳を哀れに思ったのか、
斜め向かいに座った令さまが、苦笑と共にそんなことを言った。


「そうだけれど。それこそ別にここでしか作業ができないわけではないもの」

「勘弁してよ。私、家に持って帰ってまでこんなことしたくないよ」

「・・・・・・」

 宥めるような口調に少しだけ気分を害したかのように祥子さまが吐き捨てた言葉を、
令さまは素早く取り上げて高速で投げ返す。


「適当に、定期的に、程良く息抜きしてる方が、作業効率の向上に繋がると思うわ」

 軽く目を見張って、返球に戸惑う祥子さまを後目に、令さまはどこか斜に構えたよ
うな角度で言いきった。


「・・・何よ、令まで」

 見る間に、祥子さまの眉がひそめられていく。これぞ正しく不機嫌、と言った表情
だ。見ているだけの祐巳の方こそ気が気ではない。令さまに突っつかれても爆発しな
い程度には、祥子さまは打たれ強くなっている。主に蓉子さまの指導の結果だろうけ
ど。しかし。だからと言って、それが表情に表れないかと言えばまた別の話で。むし
ろ令さま相手だと、祥子さまは顔色を取り繕ったりしない。結果、それを眺めている
だけの祐巳は、痛む胸を抑えつつおろおろとうろたえるしかないのであった。


(拗ねてる祥子さまは可愛いけど・・・うう、でも・・・)

 助け船を出してもらっておいて、その後の修正も図れないなんてお味噌すぎる。わ
かってはいるのだけれど、残念なことに祐巳はそう言ったことが得意ではない。故に
震えてしまいそうな視線のまま、祥子さまを眺めているしかできないわけで。


 こめかみを強張らせたように視線を落としていた祥子さまの瞳が、一瞬揺らめいて
からこちらを見据えた。


 祐巳が息をのんだのと、祥子さまが唇をほころばせたのはどちらが先だったのだろ
う。


「どこへ行きたいの?」

 ひどくそこだけゆっくりと見えるものだから、そこに音声が付いていることにすぐ
には気が付かなかった。それなのに。祥子さまがこちらへ向かって問いかけたのがわ
かるよりも前に、祐巳は願い事を口にしていた。


「・・・花火、見に行きたいです」


                            


 ―――ふうん。

(・・・・・・)

 クラブハウスからの帰り道、長い廊下をぽてぽてと歩きながら、祐巳は祥子さまの
反応を思い返した。そして。


(・・・・・・そっけない)

 祥子さまが余韻を持たせるような話し方をあまりしないことは何となく理解してい
る。


 ―――それじゃあ、詳しいことは後で決めましょう。お昼にでも。

 どことなく事務的に聞こえてしまうのだって、必要なことを簡潔に述べられている
からだ。


 でも。

(やっぱり、無理やり誘うみたいなのは、嫌だったのかな・・・)

 祥子さまの些細な反応にすら、舞い上がったり落ち込んだりを繰り返す祐巳の心は、
それだけでいっぱいになってしまう。


 ―――それは楽しそうね。

 いつかの冬の日みたいに、笑顔を見せてほしかった、なんて。相手の反応にすら期
待して落ち込むとは、なんてわがままなんだろう。


 遠くから近くから、何重もの蝉の鳴き声が聞こえてくる。首筋に汗が一筋伝うと、
何だか力が抜けて行くようで、祐巳は石畳の脇に置かれたベンチに腰掛けた。いや、
腰かけようとした。


「サボり発けーん!」

「ひゃあ!?」

 制服越しではあるけれど汗ばんだ背中を迷いなく抱きしめられて祐巳は咄嗟に身体
を強張らせた。


「あ、あのっ?」

 振り返りながらも、こんな悪戯をするような人、祐巳が知る限りでは一人だけだ。

「・・・・・・聖さま・・・」

 予想通り、振り返った祐巳の目の前で、その人は飄々と笑っている。

「はい、ごきげんよう」

「はあ・・・」

「あ、君。今、何で聖さまがこんな所にって思ったでしょ」

「か、顔から読み取らないでくださいっ」

「だって、わかりやす過ぎるんだもの、祐巳ちゃん」

 祐巳ちゃんと呼ぶ聖さまの声がどこか懐かしくて、祐巳は大人しくされるままにも
う一度ベンチへ腰掛ける。


「あのねー大学生は二学期制なの。だから、八月だって別に暇なわけじゃないんだよ」

 その様子に満足そうに笑ってから、祐巳にくっついたままの聖さまも同じように隣
に腰かけた。


「そうなんですか」

「・・・・・・まあ、暇なわけの人の方が圧倒的に多いんだけど。ほら、色々補っと
かなきゃいけない人もいるの」


「・・・・・・」

 学習を補っているということだろうか。大学生の学校生活というのが今一わからな
い祐巳は曖昧に首をかしげるしかなかったけれど、聖さまはばつが悪そうに唇を尖ら
せている。


「でも、祐巳ちゃんも暇なわけじゃないよね。八月なんて走り回ってる真っ最中でしょ」

 一年前には自分もそうだったことを忘れたかのように、聖さまは楽しそうにこちら
を眺めている。おかげさまで、ちょっとした言い合いを祥子さまと繰り広げていた時
間とその前後以外は、皆ほとんど薔薇の館に留まっていなかった。誰かしらが残って
事務作業をこなしてはいるけれど、入れ替わり立ち替わり、各々席を立って部屋を出
て行く。


「そういえば、さっき渡り廊下歩いてた祥子も早歩きだったな」

 不意に祥子さまの名前が出てきたものだから、必要以上の大きな仕草で顔を上げた。

(そっか、祥子さまも出ているんだ)

 茶道部と書道部に出品物の大きさの確認に行くとか何とか言われていたような気が
する。ちなみに令さまは運動部巡り。


「でも、なーんか急いでるってだけじゃなさそうだったんだよね。何かあるの?」

「と、言いますと?」

「心ここにあらずって感じで歩いてるんだもの、祥子」

「え・・・」

 密着したまま、お互いに蒸れて行きそうな格好なのに、片方の祐巳はひんやりと固
まりそうになった。


(やっぱり、やっぱり・・・)

「あ、今悪い方に想像したでしょ、君」

「えっ、あの、だって・・・」

 またしても子狸の顔から察知したらしい聖さま。指摘された方の祐巳はと言えば、
聖さまから投げつけられる言葉の速度について行くのがやっとで目を回しそうなのに。


「あれはねー」

 それなのに、聖さまはそんな祐巳の姿をますますおかしそうな笑い顔で眺めている。
それが何だか面白くなくて、少しばかり強気に見返すと、聖さまはじっと祐巳の目を
見て、やっぱり耐えきれなくなったみたいに唇をほころばせた。


「浮足立ってるってやつ?」


                            


『ねえ、祐巳』

 祥子さまの声がする。いつもの斜め上からの距離じゃない。もっともっと近い場所
から。


『祐巳』

 ゆっくり、噛みしめるような速度でまた呼びかけられると、返事もできなくなるく
らい、胸の中がじんわりと熱くなっていく。


 首元に祥子さまの規則正しい呼吸が当たっている。それに気が付くと、また熱が沸
きだしてくるように熱くなる。胸の奥から、腕も、脚も、彼女の触れる首元も。


『・・・・・・もしかしたら夢なのかしら』

『えっ』

 じりじりと焦がされていくみたいになった祐巳が黙り込んでいたら、祥子さまはそ
んなことを呟いてこちらを覗き込んだ。


 三日月の形に緩められた瞳が、悪戯っぽく笑っている。

『・・・・・・・・・』

 何も言えなくて、でも夢じゃないって伝えたくて、薄い肩に齧りついたら、唇に笑
い声が何度も当たった。


「お待たせしましたっ・・・」

 何だか幸せな時間を思い出していたような気がする。傍から見たらかなりぼけっと
して見えるのだろうけれど。傍から見なくとも、気が付いたらそこへ着いていたのだ
から、そうとうぼんやりしていたことは事実か。


「いいえ」

 落ち着きなく頭を下げる祐巳の様子に苦笑してから、祥子さまは手招きをした。

『お弁当時間位は自由にしようか』

 書類が一段落したのだろう令さまは、伸びをしながらそう告げると席を立った。

『あ、でも祥子さまは?』

 皆がそれに倣って席を立ち始めるものだから、隣の空席に視線を投げかけながら、
祐巳は慌てたけれど。


『知ってるよ。だから、お弁当箱持ったまま動き回ってる』

 対する令さまは、あっけらかんとそんなことを言った。それから。

『温室で食べるんだって。祐巳ちゃんと』

 にっこりとこちらへ笑いかけるものだから、頭で理解するよりも早く、祐巳は勢い
よく席を立ちあがった。お弁当箱を手に。


「そんなに慌てなくてもいいのに」

 小走りで自分の元に駆け寄って来た祐巳に、祥子さまはまたおかしそうにころころ
笑う。


「ほら、タイがひっくり返っているわ」

「う」

 植木の置いていないベンチへ腰掛けていた祥子さまが立ちあがってこちらへ手を伸
ばした。指先がタイを摘んで結びなおす。それを眺めながら、心臓の音がひどくうる
さい気がした。走ってきたから?それとも、祥子さまが間近にいるから?上がりっぱ
なしの呼吸を耳に感じながら、何も考えられなくなりそうだ。


 タイの布地が絞られる音が微かに聞こえて顔をあげたら、不意打ちみたいに祥子さ
まが頬っぺたに口付けた。


 目を見開いたまま固まる祐巳の前で、祥子さまの笑顔が悪戯っぽく深まっていく。

「・・・・・・怒っているのかと思ってました」

「どうして?」

「だって、しつこく誘ってみたいだから」

「そりゃそうよ、あなた。ギャラリーがいる場所でデートに誘うなんて。まるで見世
物じゃない」


 悪びれた様子もなくそんなことを言われるものだから、ベンチへ腰をおろしなおし
た祥子さまに、祐巳は拗ねたみたいに食い下がった。


「・・・・・・二人きりだったら、快諾でしたか?」

「教えない。ご想像にお任せするわ」

「・・・・・・」

 遊ばれている。完全に。だって、目が笑っているもの。それなのに、怒っちゃうこ
ともできなくて、突っ立ったままの祐巳に、祥子さまが小首をかしげて見せる。


「わからないの?」

 わかりません。声が追いつかないまま視線だけで訴えてみたら、今度こそ祥子さま
は笑い声を漏らした。


「そう。祐巳には、私の顔はいつも怒っているか不機嫌にしているように見えるのね」

「い、いいえっ」

 いつもではないけれど、むしろいつもはマリア様のようなんて思っているわけだけ
れども、さっきは完全に不機嫌で怒っているようにしか見えなかったのですが。もち
ろんそんなこと口にできるわけもなくて、祐巳は首を振るのみ。


「ねえ」

 換気の為に開けられた小窓から、温いような風が入り込んで、草花を揺らす。その
音が軽やかな祥子さまの笑い声と重なると、耳朶のあたりから一層熱が上がっていき
そうだ。


「待ち合わせ時間はいつにしましょうか?」


                             


「おー、馬子にも衣装?」

「祐麒。それ褒め言葉じゃないよ」

「知ってるよ」

 とりあえず手直にあったぬいぐるみを投げつけてみたらばっちりキャッチされてし
まった。祐巳よりもずっと高くなった身長といい、まったく可愛くない。


「でもまあ、お母さんもはしゃいでたし。浴衣一つで皆幸せになれるんだから悪くは
ないよな」


 おかげでおやつを食べそびれたとか何とか。ぼやいているところは可愛らしいと見
えなくもないけど。


『待ち合わせ時間はいつにしましょうか?』

 それは祥子さまからの承諾で。もしかしたら快諾で。とにかく祐巳は晴れて、一緒
に花火を見に行くことができるのだ。


 だけどそうと決まれば、その日までただうれしく過ごすだけ、とはいかないのが祐
巳の祐巳たる所以。とにかく落ち着かない。そわそわそわそわ、無意味な動きが多す
ぎる。


 加えて。

「祐巳ちゃん。髪もまとめてあげるから」

「はーい」

 家族を巻き込んでのこの騒ぎ。

「祐麒は行かないの?割と近くなのに」

 呆れたようにこちらへ笑いかけてから、ソファに腰を落ち着けた弟に、祐巳はごく
当然の疑問を投げかけた。


「あー、小林に付き合うけど。野郎は何時間も前から準備する必要ないだろ」

「ふーん?じゃあ、もしかしたら会うかもね」

「ごったがえしててお互い気づかないと思うけど」

 何よ、その冷静な返答は。お母さんの待つ洗面所へと向かいながら、思わず唇を尖
らせてしまった。


「あんまりぼけっとしたまま歩くなよ。危ないから」

「危なくありませんよーっだ」

 全然決まっていない捨て台詞を投げつけて扉を閉めようとした祐巳の耳に、祐麒の
苦笑いが届いた。



                            


「う、わあぁ・・・・・・」

 何はともあれ、人と出会った時にはまず初めに「ごきげんよう」と挨拶を。そんな
言葉を聞かされ続けて早数年。それが身体い染みついているはずの祐巳は、けれどそ
んなことはすっぱりと忘れて感嘆のため息を漏らしてしまった。


「ごきげんよう」

 だけど、祥子さまはきっちりとそう告げて華やかに微笑む。

『ごったがえしててお互い気が付かないと思うけど』

 祐麒はそう言ったけれど。待ち合わせ場所に現れた祥子さまは、遠くからでもはっ
きりと祐巳の視界に飛び込んできた。


 いつか見た訪問着の様な色合いの浴衣を身に纏って。

(すごいっ、きれい!素敵!)

 少ない語彙で目いっぱいはしゃいでみる。心の中で叫んでいるのは人目をはばかっ
ているからでも何でもなく、声にならないだけである。


「小母さまに着付けてもらったのかしら」

「あ、はい」

 人の流れに添うように歩き始めると、不意に祥子さまが言った。

「可愛いわね」

 思わず立ち止りそうになったけれど、前にも後ろにも、すぐ近くに歩いている人が
いるものだから、それに逆らうこともできずに、祐巳は緩々と歩き続けるしかない。


 火照っていく頬っぺたのまま、祥子さまを見返すと、まるで何でもないことみたい
に微笑み返されて、ますます何も言えなくなる。祥子さまってば、自分の一言がどれ
だけ祐巳を大変なことにしているのか、そろそろ気が付いた方がいいと思う。


「それにしてもすごい人ね」

 大通りから河川敷へと抜ける道には、途切れることなく人の列ができている。その
脇には夜店や色とりどりの提灯が艶やかに並んでいた。お腹がすいて仕方がないわけ
ではないのに、甘い匂いに誘われて目移りしてしまう。忙しなくきょろきょろと見渡
していたら、こちらを見ていたのだろう祥子さまと目があった。


「あっ、大丈夫ですか?」

 そう言えば、人混みが苦手だって祥子さまは言っていた。それを無理を言ってお願
いしたのは祐巳の方なのに、食べ物に見惚れてる場合ではない。


「平気よ。体調が悪いわけでもないし。あまり過保護にしないでほしいわ」

 やっとこさ気が付いて慌て始めた祐巳の様子に、祥子さまは微笑みを苦笑の形に変
えた。


「それに、祐巳と一緒にいるんですもの」

「えっ」

 驚いた祐巳が声を上げるのと同時に、遠くから弾けるような轟音が響いた。

「あら」

 それを見上げた祥子さまの横顔が眩い彩りに照らされると、ちりちりと焦げて行く
ような音が確かに聞こえてくる。


「もう少し、近くに行ってみる?」

 こちらを覗き込む祥子さまに何も言えなくなったのは、彼女の手が祐巳の手の平を
そっと包んだからだ。


 また、避暑地での熱が蘇っていく。

 祥子さまは、そうではないのだろうか。

 立ち止まって夜空を見上げる人たちの脇を、ゆっくりと河川敷へ向かって歩いてい
ると、先ほどよりも少しだけ近くで轟音が鳴り響く。


 続けざまに、何度も打ち鳴らされて、夜空で弾けた光が、二人の上に振りそそぐ。

 一層大きく鳴り響いた音が、自分の胸の音と重なると、祐巳はぎゅっと、祥子さま
の手を握りしめた。




                            END



 そんなわけでごきげんよう。花火リク、頂いてからかなり時間がたってしまいました。その上花火ちょこっとで、
後は幸せなだけ―な二人をひたすら妄想し続けた感じですみません(滝汗)でも私は幸せー(オイ)
 リクエスト、ありがとうございました。



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